Splineとは

Splineは、ブラウザ上でインタラクティブな3Dをつくり、Web・iOS・Androidへ書き出すデザインツールだ。

モデリングからマテリアル、アニメーション、物理演算までを同じファイルで扱い、埋め込みタグ1行かコード書き出しでサイトへ載せられる。出典

ストーリー

創業から成功に至るまでの道のり。

2026年8月、Splineは3Dエディタを「エージェントと共同作業する道具」として作り直した。

共同創業者でCEOのAlejandro Leónが2020年に立ち上げたブラウザの3D制作環境は、6年かけて、デザイナーとエージェントが同じライブファイルを触る場所まで来た。出典

「3Dに投資する意味が分からない」と言われた2020年

共同創業者でCEOのAlejandro Leónは、Splineを立ち上げる前の投資家との会話をこう振り返っている。

2020年の初め、Splineを出す前の投資家との話は、3Dに投資するという提案に対して不確実な反応ばかりだった。それから状況は大きく変わり、私たちも大きく前進した。3Dはいま、画像や音声、動画と同じ既定のコンテンツ形式になった

デザイナー兼デベロッパーとしてコンピュータグラフィックスを追ってきたLeónは、3D制作の学習コストと制作コストを下げることを出発点に置いた。

2020年12月にProduct Huntで公開すると、その日の1位を取る。出典

ブラウザの中で完結させる

Splineが選んだのは、重い3DソフトをPCへ入れるのではなく、ブラウザで動かすという道だった。

モデリング、マテリアル、ライティング、アニメーション、物理演算を同じファイルに載せ、埋め込みタグ1行か、React向けのコード書き出しでサイトへ出す。出典

2021年3月のAlphaでベクター編集を3Dへ持ち込み、2022年3月のベータ版はProduct Huntでその日の1位、週間3位に入った。出典

チームはY CombinatorのWinter 2021バッチに参加し、現在の登録拠点は米国バージニア州レストン、チーム規模は25人と公開されている。出典

$15MをR&Dと人へ

2023年7月、SplineはGradient Ventures主導の$15Mシード調達を発表した。

First Round Capital、NXTP、Chapter One、Y Combinator、Backend Capitalに加え、VercelのGuillermo Rauch、WebflowのVlad Magdalinら個人投資家も参加している。

累計調達額は$16Mになった。出典

当時20人だったチームは、この資金をR&Dと採用に振り向けると説明していた。出典

翌2025年4月には、3Dとは別系統のリアルタイム2Dキャンバス「Hana」を出し、ベクターネットワークと状態遷移をリアルタイム環境で扱えるようにした。出典

V2でデザイナーとエージェントが同じファイルを触る

2026年8月のV2で、SplineはレンダラをWebGPUへ作り替え、エディタをEdit・Code・Previewの3モードに分けた。

エージェントはサイドバーからシーンを読み、エディタ自身のツールを走らせ、スクリーンショットで自分の作業を確認する。

MCPサーバー経由ならClaude CodeやCursor、ChatGPTから同じツール群を叩ける。出典

2026年10月にはChatGPTとCodexのプラグインとしてOpenAIのディレクトリへ入り、会話の中にエディタのパネルが開くようになった。出典

3D制作の入口は、専門ソフトの起動ではなく、チャットの一文になりつつある。

編集の主導権を人間が持ち続けられるようにした点は見逃せない。

エージェントはOAuthで個人に紐づき、付与を取り消せばそのトークンは止まる。

デスクトップ版ではサーバーが127.0.0.1に閉じる。出典

6年前に「不確実」と言われた領域で、Splineは制作ツールの置き場所をブラウザへ移し、次に作業の担い手をエージェントへ広げた。

ツールの価値は機能数ではなく、現場の分業をどこまで削れるかで測られる。

Splineの6年はその実例だと言える。

独自分析

PMF (プロダクトマーケットフィット)

Splineが刺さるのは、Webやアプリに3D表現を入れたいが、Blenderで作ってThree.jsで実装する分業までは回せないデザインチームだ。

ResendのZeh Fernandesは「Spline以前は、3D連携のためだけに開発者が必要だった。いまはデザイナーがアセットづくりに集中でき、エンジニアが一から組み直さなくていい」と述べている。出典

制作と実装を同じファイルに畳むことで、受け渡しの待ち時間と再現コストが消える。

書き出し先がWeb・iOS・Androidに広がっても、作業面は1つのままだ。出典

2026年のV2以降は、最初の叩き台をエージェントに任せ、デザイナーが仕上げる分担が加わった。

空のキャンバス前の停止時間が短いほど、この道具は現場に残る。出典

参入障壁 (Moat)

ブラウザで動くリアルタイム3Dエディタの技術資産が土台になる。

WebGPUレンダラ、レイヤー型マテリアル、制約ソルバー、3プラットフォームのネイティブ書き出しは短期で作り直せない。出典

加えて、コミュニティのテンプレートと学習資産、SOC 2とISO 27001の取得が企業導入の摩擦を下げている。出典

ネットワーク効果

中程度。

チームで同じファイルを同時編集するほど価値が上がり、コミュニティのテンプレートをリミックスする導線も利用を広げる。出典

ただし個人が1人で使っても価値が完結するため、利用者数そのものが指数的に価値を増やす構造ではない。出典

ターゲット

プロダクトデザイナーとブランドデザイナー、マーケティング制作チーム、デザインエンジニア。

3Dを外注せず内製したいが、DCCツールの学習に工数を割けない規模の組織が中心になる。出典

企業ではSSOと権限管理を求めるデザイン組織が対象だ。出典

成功要因

1点目は学習コストの低さで、ブラウザで開けばすぐ編集が始まり、埋め込みはタグ1行で済む。出典

2点目は3Dのリアルタイム共同編集を早期に実装したことで、コメントと修正の往復が同じファイル内で閉じる。出典

3点目は新しい入口を毎年つないだ点で、AI生成、Hana、MCP、ChatGPTプラグインと、話題の中心へ接続してきた。出典

失敗・課題

ARRが非公開で、事業規模の外部検証ができない。

公表済みの調達は2023年のシード$15Mが最後で、その後のラウンドは確認できない。出典

課金はシート単位に依存し、視聴者が増えても収益へ直結しない。

無料プランのウォーターマークは個人利用の離脱要因になり得る。出典

無償のBlenderやThree.jsとの価格差を説明し続ける必要があり、AI生成3Dの品質向上はモデリング機能の相対価値を下げる。出典

グロース戦略

PLGが主軸で、無料プランとテンプレートのリミックスからチーム利用へ上げ、シート課金へ転換する。出典

学習導線はドキュメント、YouTube、Academy、教育機関向けプログラムで補強する。出典

直近はMCPサーバーとChatGPTプラグインで、既存のチャットから編集へ入る新しい流入を作っている。出典

企業向けにはSSOとセルフホスト書き出しで単価を上げる。出典

主要チャネル: product_hunt, community_templates, youtube_tutorials, education_program, free_plan, agent_plugins

学べること

制作ツールの価値は機能数ではなく分業の削減量で決まる。

Splineは制作と実装の受け渡しを、ブラウザと書き出しで消した。出典

新しい技術を足すときも既存の作業面を壊さず、入口だけを増やす順序が効いている。

3Dから2D、2Dからエージェントへと同じ共同編集の土台に載せ替えた。出典

日本で展開するなら

日本の制作現場では3D表現の外注費と納期が導入の壁になりやすい。

月$12から試せて埋め込みが1行で済む点は、社内チームの小規模な実験と相性がいい。出典

一方で日本語のドキュメントとサポートは薄く、代理店や制作会社が複数チームで入る場合は、SSOと権限管理を含む導入支援が価値になる(意見)。出典

主な競合

  • Blender
  • Cinema 4D
  • Figma
  • Three.js
  • Womp

Timeline

創業から成功に至る道のり。転機ごとの収益・調達・バリュエーション (出典あり) も併記します。

  1. ローンチ出典

  2. SplineをProduct Huntで公開し、その日の1位を獲得出典

    • Product Hunt #1 of the day
  3. Spline Alphaを公開し、ベクター編集を3Dへ拡張出典

    • Product Hunt 424 upvotes
  4. Y CombinatorのWinter 2021バッチに参加出典

  5. ベータ版を公開し、Product Huntでその日の1位・週間3位出典

    • Product Hunt #1 of the day
  6. Gradient Ventures主導の$15Mシード調達を発表、累計調達額は$16Mに出典

    • 調達 $15,000,000
    • Seed
    • Gradient Ventures, First Round Capital, NXTP, Chapter One, Y Combinator, Backend Capital
  7. リアルタイム2Dキャンバス「Hana」を発表出典

  8. Spline V2を発表。WebGPU描画、AIエージェント、MCPを同時に投入出典

    • Product Hunt 113 upvotes
  9. ChatGPT・Codex向けSplineプラグインを公開出典

ポジショニング

分析で挙げた競合プロダクトとの相対位置を示しています。

セルフサーブのシート課金(月$12起点)でありながら、3Dモデリングからアプリ書き出しまでを1つの作業面に広げた汎用寄りの位置。

参考リンク

関連プロダクト

Social Media Scheduling

Postiz

Postizは、X、LinkedIn、Instagram、TikTokなど30以上のチャネルへ投稿を予約・配信するオープンソースのSNS管理ツール。カレンダー上で投稿を組み、AIコパイロットやAIエージェント連携で下書きから予約までを任せられる。ソースコードはAGPL-3.0で公開され、DockerやKubernetesで自前運用もできる。運営は香港のGitroom Limited。

Hong Kong · 2024 年 · 出典 17

#Open Source#MCP#Social Media

Auth / Identity

Permit.io

Permit.ioは、RBAC・ABAC・ReBACなどのfine-grained authorizationをAPI、SDK、GitOps、Policy Decision Pointとして提供し、AI agentやMCP tool callのaction-time access controlまで扱うauthorization platform。

IL · 2021 年 · 出典 12

#ReBAC#ABAC#MCP

AI Agent Infrastructure

Blaxel

AI agent向けに、永続状態を保ったmicroVM sandbox、storage、networking、MCP hostingを統合して提供するagent infrastructure platform。

France · 2023 年 · 出典 15

#MCP#developer infrastructure#Sandbox

Product Management / Research

Dscout

Dscoutは、ユーザーの生活の現場で行動と感情を記録するUXリサーチ基盤。参加者の募集、日記調査やインタビュー、AIモデレーション、分析、共有までを1つのワークスペースにまとめ、2026年8月にはMCPを一般公開してClaudeやCodexなどAIツールの中から直接スタディを走らせられるようにした。Chicago拠点。

United States · 出典 18

#MCP#Product Research#UX Research