Claapとは

Claapはフランス・パリ発のAI営業支援ツール。

Zoom・Google Meet・Microsoft Teamsの商談、ダイヤルや携帯の通話、往復メールまでを録画・文字起こしし、その内容からCRMの項目を自動で埋める。

2021年に非同期ビデオのツールとして創業し、2024年に営業チーム向けへ製品を作り替えた。

2025年10月、営業支援のlemlistがClaapを買収している。出典

ストーリー

創業から成功に至るまでの道のり。

非同期ビデオとして始まった

2021年、パリでRobin BonduelleとPierre TouzeauがClaapを立ち上げた。

会議を減らすための非同期ビデオという看板で、RevolutやQontoといった名前のある顧客を早い段階で獲得している。

同年6月にはLocalGlobeとHeadlineを引受先に300万ドルのプレシードを調達した。出典

録画の4本に1本は会議だった

使われ方を見ると、録画されたビデオの20〜25%は短い更新ではなく会議そのものだった。

Robin Bonduelleは当初の構想を押し通さず、この事実に合わせて製品の対象を動かす。

2024年半ば、Claapは営業チームの会議を記録し、AIで要点を抜き、CRMを埋める製品として作り直された。出典

転向は数字にも表れた。

同社のインタビューによれば、転向後の1年でそれ以前の3年分を上回る収益を生み、主要指標は毎月10%以上伸びたという。出典

7人で700社、そしてlemlistへ

2025年10月20日、Claapはlemlistにジョインすることを発表した。

Robin Bonduelleは「When we pivoted Claap, our vision was simple: help revenue teams capture the business signals in every conversation and turn them into action」と書き、転向の狙いをあらためて説明している。

当時の顧客は700社、チームは7人だった。出典

買収側のlemlistは、この取引を8桁(1,500万ドル超)の自己資金による取得と説明した。

lemlistは2万社超の顧客を持ち、社内の130人がすでにClaapを使っていたという。出典

独自分析

PMF (プロダクトマーケットフィット)

Claapが刺さるのは、商談の内容がCRMに残らないままパイプラインだけが積み上がる営業組織。

営業担当は通話後に要約を書き、CRMの項目を手で埋める作業を嫌い、その結果マネージャーは「言われた数字」ではなく「記録された数字」で判断できなくなる。

Claapは通話とメールを録画・文字起こしし、その内容からCRMの項目を型付きの値として書き戻すことで、この運用の詰まりを減らす。出典

同社は録画した会議のうち会議そのものが占める比率が高いという利用実態を根拠に、2024年に非同期ビデオから営業向けへ焦点を移した。

転向後は1年でそれ以前の3年分を上回る収益を生んだと紹介されている。出典

参入障壁 (Moat)

CRMの項目定義とスコアカードの設計を顧客ごとに蓄積する点が実質的な障壁になる。

録画や文字起こしは代替が効くが、どの項目にどの型で書き戻すかという設定は乗り換えコストになる。出典

ネットワーク効果

弱い。

営業チーム内で会話データを共有するほど価値は上がるが、社外の利用者同士がつながる構造ではない。

lemlistの2万社超の顧客基盤に入ったことで分布は広がるが、これはネットワーク効果ではなく販売網の効果。出典

ターゲット

営業担当が1人から100人規模のB2B企業の営業マネージャー、RevOps、イネーブルメント担当。

商談がZoom・Teams・現地訪問に分散し、CRMの入力が追いつかない組織。出典

成功要因

第一に、録画の実データから顧客の使い方を見て製品の対象を絞り直したこと。

第二に、要約をノートとして貼るのではなくCRMの項目へ型付きで書き戻す仕様にしたこと。

第三に、GongやModjoからの移行を前提に、履歴の移行相談を導線に置いたこと。出典

失敗・課題

非同期ビデオ市場はLoomが切り開いたあとに失速し、Claapは2024年まで成長が停滞した。

転向後もARRは非公開で、買収額も8桁としか開示されていない。

買収後はlemlistの一部門として価格とロードマップの決定権が移るため、製品の独立性と既存顧客の契約条件が今後も維持されるかは不確実。出典

グロース戦略

初期は非同期ビデオとしてRevolutやQontoといった名前のある顧客を取り、プロダクト主導の導入を狙った。

2024年以降は営業マネージャーとRevOpsを一次顧客に据え、CRM書き戻しとスコアカードという運用に密着する機能へ寄せた。

2025年10月にlemlistへジョインし、2万社超の顧客基盤と販売網を配布経路として使う段階に移っている。出典

主要チャネル: content_seo, partnerships, sales_led

学べること

プロダクトの当初の定義と、実際の使われ方がずれたときに、定義ではなく使われ方に合わせて作り直せるかが分岐点になる。

Claapは録画の相当部分が会議だと気づいた時点で、非同期ビデオという看板を下ろした。

加えて、要約を貼るだけの機能は比較されやすく、CRMの項目という顧客側の既存の器に書き込む設計にしたことが差別化につながっている。

日本で展開するなら

日本では商談録画の同意取得と、CRM入力の属人化が導入の焦点になりやすい。

商談前に同意文を自動で出す運用と、Salesforce・HubSpotの項目定義をそのまま使う設計を前面に出すと入りやすい。

すでにGongやModjoが入っている組織には、項目の型と書き戻し方式の違いを比較軸として提示するのが現実的だ。

主な競合

Timeline

創業から成功に至る道のり。転機ごとの収益・調達・バリュエーション (出典あり) も併記します。

  1. ローンチ出典

  2. パリで非同期ビデオのツールとして創業し、プレシードで300万ドルを調達。引受先はLocalGlobe、Headlineと、FrontのMathilde Collin、OysterのTony Jamous、GoCardlessのMatt Robinsonらエンジェル。出典

    • 調達 $3
    • Pre-Seed
    • LocalGlobe, Headline
  3. 録画のうち会議の占める比率が高いことを受けて、非同期ビデオから営業チーム向けの会議インテリジェンスへ製品の焦点を移した。出典

  4. lemlistがClaapの買収を発表。8桁(1,500万ドル超)の自己資金による取得で、Claapのチームは7人、顧客は700社と説明された。出典

    • ユーザー 700
  5. CRMの項目を型付きで自動入力する機能と、MCP経由でClaude・ChatGPTから会話データを読む構成を前面に出し、1万人以上の営業担当が利用していると発表した。出典

    • ユーザー 10,000

ポジショニング

分析で挙げた競合プロダクトとの相対位置を示しています。

Gongより小さく安い席次課金で、CRM書き戻しとMCP連携に寄せた位置。エンタープライズの予測機能ではなく、現場の入力負荷を減らす側に振っている。

参考リンク

関連プロダクト

Revenue Intelligence

Clari

Clari(現Salesloft)は、CRM・メール・会議・通話などに散らばるレベニューシグナルを取り込み、AIで予測と次に打つべきアクションを返すレベニューオーケストレーション基盤。2012年にAndy ByrneとVenkat Ranganが創業し、CRM入力と実態のかけ離れた予測に悩む営業組織に向けて、データを自動で集めて予測精度を高める仕組みを築いた。2025年8月にSalesloftとの合併を発表、12月に完了し、Steve CoxをCEOに迎えて「Predictive Revenue System」へと歩みを進めている。

United States · 2012 年 · 出典 18

#Sales AI#AI Agent#Forecasting

Revenue Intelligence

Backstory

Backstory(旧People.ai)は、営業チームのメール・会議・通話・CRMのデータを横断的に取り込み、「この商談の実態は何か」「次に何をすべきか」をAIが回答として返すレベニューAI基盤。2026年4月にPeople.aiからBackstoryへ社名を変更し、データを見せるダッシュボード型の製品から、CRMやSlack、Copilot、ChatGPT、Claudeなど業務の現場に回答を届ける製品へ軸足を移した。創業者のOleg Rogynskyyは2016年から、CRM入力という営業組織の慢性的な負担と、そこから生まれる不正確なデータの解決に取り組んできた。

United States · 2016 年 · 出典 17

#Sales AI#MCP#AI Agent

CRM

Brevo

Brevoはパリに本社を置く顧客プラットフォームです。メール配信ツール「Sendinblue」として2012年に始まり、2023年5月の改名を経て、マーケティング配信、CRM、CDP、SMS、WhatsApp、チャット、プッシュ通知を1つの管理画面にまとめました。2025年12月に€500Mを調達してユニコーンになり、ARRは2億ユーロを超えています。60万社が利用し、11件の買収で機能を広げてきました。

France · 2012 年 · 出典 16

#France#SMB#Customer Data Platform

Revenue Intelligence

Outreach

Outreachは、見込み客への接触から商談管理、売上予測、会話分析までを一つの基盤にまとめ、営業チームの行動と数字を可視化するレベニュー基盤。2014年に4人で創業し、営業支援ツールから、AIエージェントが商談準備や更新、フォローを実際に実行するエージェント型プラットフォームへ事業を広げた。累計調達額は$489M、Series G後の評価額は$4.4B。2024年にManny MedinaからAbhijit MitraへCEOを交代した。

United States · 2014 年 · 出典 15

#SaaS#AI Agent#Sales Engagement